花粉症の治療法、皮下免疫療法(SCIT)とは?
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皮下免疫療法(SCIT)とは、舌下免疫療法(SLIT)と同じ、減感作療法(特異的免疫法)の1つです。 体に、アレルゲンを慣らし、過敏な反応が出ないようにする治療法です。
この治療方法は、「減感作療法」や「免疫療法」とも呼ばれ、アレルギー反応自体を起こさないようにする根本的な治療法です。
自動車や工作機械の運転を行う方、花粉症の症状が強い方、 薬の副作用で、眠気の強くでる方は、舌下免疫療法と合わせて、治療を検討する価値があるかと思います。
減感作療法(特異的免疫法)
減感作療法は、イギリスのヌーン医師が、1922年に始めた古い治療法です。
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を安全なレベルで少しづつ投与し、その量を徐々に増やしていくことで、 体を慣らしていき、その物質に過敏に反応しないようにする治療法です。
この治療方法は、「免疫療法」とも呼ばれ、アレルギー反応自体を起こさないようにする根本的な治療法です。
治療には、安全なレベルの量を投与するために、品質の安定したアレルゲンが必要となります。 基本的には、認可されたアレルゲンが存在している必要があります。 それ以外のアレルゲンでは、実験的な治療になるため、 大学病院のようなところで、倫理委員会を通してからでないと治療を実施できません。
花粉症に対する治療方法として確立されているのは、 現在は、2つ、皮下免疫療法(SCIT)と舌下免疫療法(SLIT)です。 どちらも古くて新しい治療法ですので、治療を受けられる医療機関は限られています。 保険診療が可能になったので、かなりの医療機関が治療の導入を始めています。 もし興味を持たれた場合は、かかりつけの耳鼻咽喉科の医師に相談してみてください。 また、インターネットで、「お住まいの地域」「免疫療法」で検索をかけるお近くの治療を受けられる診療機関が見つかると思います。
スギ花粉症・ダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法施設検索
全てが検索できるわけではないので、インターネットで、「お住まいの地域」「免疫療法」で検索をかけたほうが確実です。
花粉症の仕組み
花粉症は、人間の体が、体内に入ってきた花粉に含まれるタンパク質を「異物」富なしそれを体外に排出する際、 自分自身にとって不利益な症状を起こしてします疾患です。
皮下免疫療法(SCIT)
免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を安全なレベルで少しづつ投与し、 その量を徐々に増やしていくことで、体を慣らしていき、その物質に過敏に反応しないようにする治療法です。
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を皮下注射で体内に投与する方法が、皮下免疫療法(SCIT)です。 減感作療法とも呼ばれます。
最初は、ごく薄い治療液を週に1~2回ずつ注射します。薬の量を少しずつ増やし、 決められた量(維持量)に達したところから、注射の頻度を2週間に一度にします。 2週間に一度の注射を数回行った後は、月に1℃づつにし、そのペースで、2~3年治療を継続します。
「アレルゲン免疫療法(減感作療法)eラーニング」日本アレルギー学会
利用できるアレルゲン
認可されている治療用のアレルゲン標準液が、あるもののみ治療できます。 それ以外のアレルゲンでは、実験的な治療になるため、大学病院のようなところで、 倫理委員会を通してからでないと治療を実施できません。
治療用と記述されているところが利用できるアレルゲンです。
皮下免疫療法(SCIT)の副作用
アレルギーを持つ物質を体に投与するため、重篤な副作用(アナフィラキシーショック)を起こす可能性がないわけではありません。 注射後、少なくとも30分は病院にとどまり、副作用が現れないことを確認する必要があります。
最も強い副作用は、アナフィラキシーというアレルギー反応です。 蕁麻疹、口や手足のしびれ、冷や汗などが起こり、喘息症状が起こることもあります。 また、血圧が低下し、呼吸困難や意識を失うこともあります。万が一のことがあるので、注意しなければいけません。
そのため、注射を受けた後は、激しい運動をしたり、お酒を大量に飲んだりすることは控えるように注意する必要があります。
皮下免疫療法(SCIT)の利点
- 花粉症の症状が強い人
- これまでの治療で効果がなかった人
- 薬の治療で眠気などの副作用が強く薬が使えない人
自動車や工作機械の運転を行う方、花粉症の症状が強い方、 薬の副作用で、眠気の強くでる方は、舌下免疫療法と合わせて、治療を検討する価値があるかと思います。
注射や長期間の通院が必要となるため、これまでに治療を受けた方は、 これらの条件に当てはまる方が多いと考えておいた方いいと思います。
皮下免疫療法の有効率
スギ花粉症で、70~80%と言われています。治療開始、数ヶ月で症状が軽くなったような自覚が出てくるようです。
薬の有効率では、抗ヒスタミン薬(第2世代)が60%、 ステロイドの点鼻薬が70%程度とのことですので、かなり有効性が高い治療といえます。
保険診療
保険診療が可能かどうかは、抗原が保険診療可能かどうかによります。
引用:減感作療法– 山下診療所
最後に
この記事は、書籍『スギ花粉症は舌下免疫療法(SLIT)でよくなる!: まったく新しいアレルギーの根本治療 』(永倉 仁史)を参考に作成しました。