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韓国の不正横流し疑惑で話題なので、「フッ化水素酸の知識」を更新するメモ

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無機化学系の知識が薄いので、ニュースで話題になっているこの機会に、インターネット上で簡単に入手できる程度の表面上の情報で「フッ化水素酸」に関する知識を更新することにした。でも、あんまり興味がわかなかった。物質は、自分で使わないと興味わかない。

 わかりやすいニュース記事を見つけたので貼り付けておきます。

www.fnn.jpネット上のうわさには、このようなものがあるようです。

news-us.org

ハロゲン族

フッ素は、ハロゲン属に分類される元素です。

周期表では、希ガスの左隣、右から2列目です。

ja.wikipedia.org

周期表示によると、ハロゲンは、F(フッ素)、Cl(塩素)、Br(シュウ素)、I(ヨウ素)、At(アスタチン)、Ts(テネシン)です。ちなみに、「ふっくら(F, Cl)ブラジャー(Br)愛(I)のあと(At)」と覚えました。暗記法は、ほかにもいろいろあると思います。おそらく、どこかの学習塾が出典だと思うのですが、私は、また聞きなので、どこの学習塾から出てきた覚え方なのかは知りません。ちなみに、その頃は、Ts(テネシン)は、発見されていません。

I(ヨウ素)の元素記号は、ドイツ語では、Jです。元素記号が、万国共通でないことにびっくりした覚えがあります。

Ts(テネシン)が増えている!

いつの間にか、つかされているTs(テネシン)は、2010年4月にロシアとアメリカの合同チームにより、ロシア連邦ドゥブナで公表され、2017年時点でも最も新しく発見された元素です。

テネシン - Wikipedia

周期表の縦方向の集合は、似通った性質を持つ

1869年にロシアの化学者ドミトリ・メンデレーエフによって提案された周期表は、原子の電子配置に従って並べられ、縦の列に、似た性質の元素が規則的に出現します。

元素の性質は、電子配置に由来しており、縦の方向の集合は、似通った性質を持ちます。しかし、原子番号の低い元素は、他の縦の方向の集合の元素とは異なる、特徴的な性質をもっていることが多いです。

フッ素は、有機化合物に結合すると、結合した化合物の沸点や融点が下がる傾向があり、低い温度で、気化、融解できます。冷蔵庫やエアコンに使われる冷媒のフロンは、この性質を利用するものです。気化させて分析するガスクロマトフラフィーによる分析を容易にするための前処理材として使われます。また、話題のウラン濃縮で使われる六フッ化ウランの沸点は、56.5℃(昇華)です。ちなみに、塩化ウラン(VI)(六塩化ウラン)の沸点は、75℃です。

フッ化水素酸の合成

フッ化水素酸の合成は、簡単そうです。しかし、毒ガスであること、腐食性が強いため、実験装置などの腐食があるため、大量生産には、特別な装置や技術が必要になると思います。

蛍石(フッ化カルシウム CaF2 を主とする鉱石)と濃硫酸とを混合して加熱することで発生します。

フッ化水素 - Wikipedia

この方法で、発生したHF(フッ化水素酸)には、水分が含まれているので、濃硫酸を使って乾燥します。

図書館で百科事典を確認すると詳しい製造方法が見つかるかもしれません。

フッ化水素酸の性質

フッ化水素酸を扱う素材

フッ化水素酸を扱う難しさは、その毒性とともに、素材への腐食性です。

フッ化水素酸は、化学物質を扱う際、万能な耐蝕素材のガラスを溶かします。実験室レベルでも取り扱う際に使用する器具の素材に困ります。実験室では、フッ素系樹脂の器具が使われます。

プラントでは、バルブ、配管、タンク、ポンプ、センサーなど、全て耐蝕素材で作成する必要があるので、それだけでかなりの設備コストが想定できます。製品として存在しなければ、特注します。そして、これらの部材を供給できるところも限られています。部材を提供するメーカーは、トラブルが起きたときに対応を迫られるので、誰でも販売してもらえるわけではありません。トラブルが起きた時、厳しい対応をすると、納入を停止されるどころか、事業から撤退されることがあるので、部材メーカーと消費メーカーの間には親密な関係があることが多いです。その結果、このような特殊用途の部材は、協業他社には、販売していないことが多いです。

金属では、アロイ20、ハステロイB、ハステロイCが、加熱状態ではわかりませんが、フッ化水素酸に耐蝕があるようです。(金属素材自体も高いし、加工賃もすごいやつですね。)

金属材料の耐食表

実験室では、金や白金の蒸留装置を使うようです。

フッ化水素酸の純度が保てないのは、保存容器の成分が溶けだしているのかもしれません。これは、超純水でも同じかも。

配管材料はPP(ポリプロピレン

配管材料は、PPが使われているようです。

フッ化水素回収ライン修理中に発生した爆発災害

フッ化水素コンテナ荷姿

荷姿の外観は、一般的な、ケミカルコンテナやケミカルタンカーです。

セントラル硝子 フッ化水素酸

フッ化水素の精製

フッ化水素の精製は、実際には、どのように行われているかわかりませんが、蒸留による精製方法が紹介されています。実際に供給されている高純度フッ化水素が、蒸留精製されているかは知りません。

半 導 体 用 高 純 度 フ ッ 化 水 素 酸 - J-Stage

これを見る限り、もし、新規に、蒸留条件の検討をする場合、物理データを収集するためのベンチプラントを作成するだけでも、その装置の素材や付随する、ポンプ、バルブ圧力系などの選定、分析手法の確立、素材の腐食データの計測、作業員の安全確保など、実験を計画する段階で、かなりの基礎データを集める必要がありそうです。フッ素系樹脂の実験装置を使ったことがないと、ガラス製の器具が使えないだけで、かなり最初から試行錯誤が必要になり困ると思います。

蒸留塔の設計エンジニアが、現在、世界にどれだけ残っているかはよく知りません。蒸留プラントは、世界的に見てもそれほど頻繁に建設されることがないので、エンジニアは育っていないと言われています。特に、新規設計の蒸留塔を設計した経験のあるエンジニアはそれほどいないようです。

装置や測定装置の素材選定に加えて、フッ化金属の蒸気圧データや考えられる不純物との共沸曲線などの基本的な物理属性も独自に計測し取得する必要がある(もしかしたら、データを取得するための実験装置も自作する必要があるかも)と思われるので、時間も予算も人員も必要になると思います。

韓国のフッ化水素製造

韓国にもフッ化水素の製造工場(化学メーカー「ヒューブグローバル」 )は存在するようです。

亀尾フッ化水素酸漏出事故 - Wikipedia

この記事を見ると、この事故が元で、工場はなくなっているようです。

headlines.yahoo.co.jp他に、ソウルブレイン(SoulBrain)という企業が、フッ化水素酸を製造しているようです。

フッ化水素酸製造メーカーの日本国外のアジア製造拠点(グループ企業)

フッ化水素酸の製造は、日本メーカーのシェアが高いからといって、日本の工場だけで行っているわけではありません。エチレンガスやエチレンオキシド、アクリル酸のような生モノ扱いされる物質なのかもしれません。

※下記製造拠点のすべてがフッ化水素酸の製造を行っているわけではないと思います。また、リストは、完全に網羅したものではありません。

日本から、フッ化水素酸を輸入できなくなった企業は、これらの海外拠点から輸入できないか検討することになると思います。

ステラケミファ

https://www.stella-chemifa.co.jp/company/group.html

シンガポール

  • STELLA CHEMIFA SINGAPORE PTE LTD(高純度薬品の製造・販売 )

中国

大韓民国

  • FECT CO., LTD.(高純度薬品の製造・販売 )

森田科学

国内・海外拠点 | 企業情報 | 森田化学工業株式会社

中国

大韓民国

ダイキン

海外拠点 | ダイキンについて | ダイキン工業株式会社

中国(中国のフッ素化学生産拠点のみ抜粋)

  • Daikin Fluorochemicals (China) Co., Ltd.
  • Daikin Fluoro Coatings (Shanghai) Co., Ltd.
  • JiangXi DaTang Chemicals Co., Ltd.

昭和電工

中国

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headlines.yahoo.co.jp

 

 

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