コンピュータを使う人のためのカラーマッチングの基礎知識
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カメラに詳しい人には、当たり前の知識のようですが、コンピュータで扱う色を調整するという発想は、教えてもらわないと気が付きません。 ディスプレイの色もプリンタの色もスキャナで読み込む色もそれぞれの個体によって異なるのでそれを同じ色に調整する操作をしないと同じになりません。
日本語で表現すると「色合わせ」、横文字にすると「カラーマッチング」同じ表現でもイメージが異なります。 それと同じように同じ色でもイメージが異なるのです。
「カラーマッチング」は、本来、パソコン用語でもカメラ用語でもないはずです。 塗料や染色、印刷関連で使われている色を管理する仕組み全体をさすことが多いです。
例えば、
車をぶつけてボディーがへこみました。板金加工工場でへこみを修理し、色を塗りなおします。 車は、日に焼けて新車の時の色とは異なる色になっています。 新車の時に使用した色の塗料を使って修理した部分を塗ると違った色になってしまいます。
例えば、
単色の洋服を作ります。使用する生地は、何キロもの長さのものが作成されます。 洋服を作るために縫い合わせたら、それぞれの布の色がびみょうに異なりました。
例えば、
カラーで本を印刷します。本によって、色がまちまちであったり、ページによって同じ色のはずが微妙に違う色になっています。
このようなことが起こらないように、色見本を使ってその色に合わせる作業を行います。それが、カラーマッチングです。 本来、職人と呼ばれる方が勘と経験で行っていたようですが、分析機器により数値化し、その作業を軽減する方向に向かっています。
3原色
さて、色には、二種類あります。
光と反射光です。光を発する色と光を反射あるいは透過して得られた色です。 パソコンであれば、前者がディスプレイ、後者がプリンタになります。
そのため、色の3原色もそれぞれ異なります。
光る色の3原色は、加算混合と呼ばれる合わせると明るくなる特徴を持ちます。
- R : Red (赤)
- G : Green (緑)
- B : Blue (青)
反射光の3原色は、減算混合と呼ばれる合わせると暗くなる特徴を持ちます。
- Y : Yellow (イエロー)
- M : Magenta (マゼンタ) 赤系の色
- C : Cyan (シアン) 青系の色
色空間
パソコンの中で色を表現するには、色を数値で表現する必要があります。その表現形式にいくつかの種類があります。
ディスプレイでは、
- Adobe RGB
- sRGB
プリンタでは、
これらを覚えておけば特に問題はないと思います。
カラーマッチング・カラーキャリブレーション
データーの数値が表す色と、実際の色を合わせる作業です。
手動で行う場合
カラーチャート(色見本)に色を合わせるように調整します。 カラーチャートは、通常紙の印刷物であるため、それを扱う光のもので色合わせする必要があります。
印刷物など反射光の色を認識するものは、光源によって全く色が異なることがあります。 そのような現象を演色性と呼びます。最終的に使いたい状態の色で色合わせを行うことが重要になります。
測定器を用いて自動で行う場合
ディスプレイ、プリンタそれぞれに自動で色調整を行ってくれる製品が存在します。
Datacolor Japan | Spyder5STUDIO
プリンタの色調整
インクジェットプリンタで、純正インクを使用している場合は、既に調整されたプロファイルが存在します。 しかし、印刷物では、紙ごとに異なるプロファイルが必要になります。使用する紙ごとにプロファイルを変更する必要があります。 用意されているプロファイルが存在する紙を使用するとより、設定に近い値で印刷されます。
ディスプレイの色調整
デジタル写真のレタッチを行う場合は、調整しておく必要があります。 調整していないとレタッチソフトでいくら色を調整しても、プリントした際の色と異なる結果になります。 そのため、あらかじめ調整しておくことをお勧めします。
複数のディスプレイを使用している場合は、すべてのディスプレイの色を合わせておいた方が使いやすいと思います
自宅で使用するプリンタの色調整は、行っていなくても、プリントサービスを利用すれば、 色調整されいるので、より近い色のプリントを得ることができるはずです。
グラフィックソフトでの色空間の指定
高性能なグラフィックソフトでは、描く際に色空間が指定できるものがあります。印刷して使用する場合は、「CMYK」を、 ネット素材などディスプレイで見る場合は、[sRGB]、「Adobe RGB」を指定して描くと色の差異が少なくなることが、期待できます。