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3D-CADを中心に、雑多なことをかいています。

「フルサポートで修理を断られた人」と「合成の誤謬」

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正規品で購入したにも関わらず、フルサポート契約をしたにも関わらず、修理を断られ、さらに、嘘つき扱いされた人の怒りのツイートです。

 

 

私の感想は、すごいな!ソフトバンク!!さすが白犬!!!です。なぜ、そんなに自信が持てるのか?携帯電話関連会社で働いたことはありませんが、私が担当者なら、とてもそんな自信を持った対応ができません。

 

対応に失敗した結果、そして、既に、修理してしまったため、実際には、何が原因なのか追究することができなくなってしまいました。

 

iPhone購入費用、契約期間中のすべてのフルサポート費用、実際にかかった修理費、交通費+α分を被害者に支払い、怒りをすぐに抑えてもらう方向にもって行くのが一番、会社側の損害が少なくなると思いますが、この問題、その方向には、行かずに長引くのではないでしょうか。

 

おそらく、窓口担当者は、マニュアル通りの対応をしたと思われます。それぞれの人は、正しいことを行っているのに、結果として、悪い状況になるのを経済用語で「合成の誤謬」と呼ぶそうです。

 

会社の収益を上げるために、給与を削減したり、リストラして、運営コストを下げた結果、社会全体の購買力が低下して、さらに、会社の収益が低下する

 

このような現象を説明するときに使用されます。

 

ただ、そのマニュアルを作成した人が、残念だっただけです。

 

では、窓口担当者は、どういった対応をするのが良かったのでしょうか?

実際の現場にいた際には、対応できるかどうかはわかりませんが、冷静に考えれば、簡単です。

 

代替機を渡し、「重大な問題が発生している可能性があります。対応にしばらく時間がかかります。対応方法が決まりましたら、ご連絡致します。」と対応するのが、最適解だと思います。

 

そして、時間をかけて原因を追究すればいいのです。

 

では、どのように考え、この結論をえたかを説明します。

 

状況1

今回の修理品を持ってきた方が、自分で、どこかで修理した。

偽物を意図的に持ってきて、修理可能かどうか確かめた。

 

この場合、どう対応しても問題ありません。修理してもいいし、修理を断っても構いません。ソフトバンク全体では問題があるかもしれませんが、かなりのフルサポートサービス利用料が積みあがっているでしょうから、大勢には影響ありません。さらに、窓口や修理部門は、これらの支払とは切り離されています。

 

ただ、今回の場合、フルサポート契約しているので、正規以外の修理を行った可能性が低い。利用者がどの製造番号の個体を使っているかは管理しているはずなので、修理を断る理由は少ないと思います。

 

状況2

窓口対応者、修理担当者が、本物と偽物の区別を間違えた。

 

同じ、製品でも使用されるパーツは、適時、変更されます。変更されて使用されたパーツの情報が、末端の修理部門まで伝わっていなかった。今回の場合もっとも疑われるケースです。

 

状況3

顧客に渡す前の段階で、本物と偽物をすり替えられている。

 

この場合は、結果的に会社側が顧客に対して詐欺を働いたことになります。そのため、可能性のある事案が少しでも見つかれば、調査し、それに対する対応を行った記録を残しておく必要があります。

 

正規部品を互換品とすり替え正規品を市場で販売し差額を儲ける工場内での部品のすり替え運送中、店舗のバックヤードでの偽物とのすり替えなどの可能性は常に考えておく必要があります。

 

個人では、無理ですが、組織的な犯行であれば十分可能と思われます。製造番号の問題がありますが、内部協力者の存在や内部データのハッキングが可能であれば、完全にムリということはないと思います。

また、製品の金額が高額なこと、再販しやすいことなど、すり替える手間をかける価値は十分あります。

そして、大陸産の製品ですので、島国の私たちが、想像できないことも多くあると思います。

 

この事件が示すのは、組織で働く個人それぞれの裁量の幅がほとんどなくなってきていること、窓口対応者が、今回の状況で、依頼者を追い返す以外の対応ができたのか?という疑問です。

つまり、組織での個人の裁量の幅がなくなり、硬直化しているのではないかという疑問です。

 

そして、グローバルな社会になっているのに、「国内生産のような品質の幻想を、顧客側より、販売し、保守する会社側のほうが強く持っているのでは?」と考えさせられました。