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自分で作るコラーゲン人口血管

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動脈瘤の利用などに使用される人工血管ですが、コラーゲン製の人工血管、 「バイオチューブ」自分で作る方法が、臨床研究段階に入ったことは、ご存知でしょうか。

世界最小径の人工血管開発に成功~生体内組織形成術を用いた人工血管~ | プレスリリース | 広報活動 | 国立循環器病研究センター

 

開発したのは、国立循環器病研究センター 医工学材料研究所 中山泰秀室長です。

素材は、コラーゲンです。

一般的には、コラーゲンは、体に良いというイメージありますが、医療者にとっては厄介者です。 心臓ペースメーカーなどの医療器具を体内に入れると、薄い膜で覆われます。 その膜の正体がコラーゲンです。これは、体内に入った医療器具を異物と認識し、細胞で覆い隠す現象で、カプセル化反応と呼ばれています。

体にとって異物は、いらないものだから、出したい。でも、異物が奥の方に入ってしまうと出すに出せません。 それで、異物を覆い隠すために、自分の細胞で覆います。それには、コラーゲンが用いられます。

コラーゲンは、タンパク質の一種、骨と皮膚の間など、体の膨らみをもたせているもので、 人間のタンパク質の1/3はコラーゲンと言われています。

バイオチューブは、コラーゲンでできる「カプセル化反応」に着目して作られた人工血管です。

作り方は、簡単です。血管の形の元になる型を用意します。

体に埋め込みます。

体は、型を異物と認識し、コラーゲンで覆います。そして、その型を取り出すと完成したバイオチューブができます。

バイオチューブの型です。中芯があり、外側の筒に隙間があります。その間に、細胞が入ってきてコラーゲンを作ります。

中芯を抜くと、中芯の周りに、コラーゲンの筒ができあがっています。

これを抜き取り、人工血管として移植します。

やぎ、うさぎ、ラットで、バイオチューブの作成に成功しています。

やぎで作ったバイオチューブで、強度を確認してみましょう。

強く引っ張っても破れません。

縫い合わせることもできます。

直径5mmのバイオチューブで、水の入った500mlのペットボトルも持ち上げることができます。

1kgの重さでも、持ちあげる事ができます。

コラーゲンは、タンパク質なので、ひとつひとつは弱いですが、綱と一緒で、編んで太くなると切れにくくなります。

さまざまなサイズのバイオチューブを作り出す事ができます。

やぎなどの大型動物では、心臓の血管の移植に成功しているそうです。

現在、医療器具として認められているポリエステル製の人工血管から置き換わる可能性も期待されています。

耐久性については、人工物の人工血管では、体内に入れた時の性能が100%でそこから、劣化が始まります。 良くなることはありません。バイオチューブの場合は、体内に入れた時が未成熟な状態で、使っているうちにより熟成していくと考えられます。

人間のバイオチューブの効果は?

2016年春、臨床研究が始まりました。

共同研究者「天理よろず相談所病院」金子嘉志副院長(腎透析科)のもと、透析で、針を刺す血管が詰まりやすくなった患者に、 痛みを伴う、血管をふくらませる治療を行っていました。

詰まりやすくなった血管

ポリエステル製の血管は、感染症などのリスクがあり、患者は、気乗りしませんでした。 それならと、自分の身体で作るバイオチューブに挑戦しました。

まず、お腹に、2本の血管を作る方を入れる手術を行います。 早ければ、一ヶ月で、バイオチューブが完成します。

次に、型を手術で取り出し、バイオチューブを取り出します。

翌日、腕の部分にバイオチューブを移植します。

一ヶ月後、バイオチューブが血管として働いているかを確認します。

血管として機能し、血流が改善していることが確認できました。

CBCテレビ イッポウより。