Fusion360のソリッドで、スポーク構造を持つ円盤を、3Dモデルを図面から作成するとき、一手間かかるのでその対処方法の例
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図面から3Dモデルを作成する際、相貫部分の指定があると、3Dモデルで必要な形状を特定してから、モデルを作成する必要がある場合があります。
具体的には、スポーク構造を持つ円盤です。円形のハンドル、大口径の鋳物製のプーリ、歯車などで、この構造が使われています。
高機能な3D-CADであれば、モデリング支援機能で自動補完される場合もあると思います。実際に体験していないと明瞭に説明することも難しいので、解説資料として使えるようにまとめて置くことにします。
使用する図面
例として使用する図面は、「最新機械製図」に掲載されている「製図例23-3」を使用しました。
2D-CADや3D-CADの演習用にたくさんの製図例が掲載された製図例集があれば良いと思うのですが、適切なものは、見つけていません。最新機械製図は、CAD製図の本ではありませんが、掲載されている製図例と説明されている内容が詳しいので気に入っています。
<使用するCAD/h2>
Fusion360 [2.0.5045]を使用してモデリングします。Fusion360は、更新頻度が高いので、操作説明には、その時使用したバージョンを記録していたほうが良さそうです。
Z-UP
Fusion360の座標系は、z-upに変更されました。
設定を変更するには、右上のアカウントをクリックして、基本設定を選択します。
一般の規定のモデリング方向で変更できます。
モデリング
基準軸を表示します。
ハブ部分をモデリングする
スケッチを作成します。
YZ平面を選択します。
スケッチします。
回転をクリックします。
60°回転します。
スポーク部分をモデリングする
ポークの断面は、楕円です。この部分は、2つの楕円のスケッチをロフトでつないで作成します。3D-CADでは、スケッチの間をつなぎます。しかし、図面上で楕円の大きさを指定している位置は、立体の端部で寸法が指示されているのではなく、実際に部品を加工する際に加工寸法を測定しやすい位置で指定されます。
その結果、図面上で寸法を指示された楕円の大きさで形状を作成すると、スポークの楕円柱の長さが足りなくなり、モデリングに不具合が生じます。3D-CADによっては、この問題を回避する機能が用意されているかもしれません。
図面に指示された楕円の寸法をモデルのスケッチとして追加する
スケッチを作成します。
XZ平面を選択します。
スケッチを描いて、図面に指示された楕円の位置を確認します。
図面の指示では、R17.5に接する楕円が、21-10.5、R53に接する楕円が18-9です。この位置に楕円のスケッチを描いて、ロフトで、立体を作成するとリム側に交わらない部分が現れます。
スケッチから、中心に近い方の楕円は、14の距離に、遠い方の楕円は、52.23の距離にあることがわかりました。リムの形状の中心に相当するR61.5の円弧が、Z軸に交わる位置の楕円の長径の半径の長さ(8,636)も確認しておきます。
YZ平面にスケッチします。
作成ドロップダウンから、「プロジェクト/含める」→「プロジェクト」を選択します。
先程描いた楕円の位置をクリックし、その点を元にスケッチします。このスケッチから、R61.5の円弧が、Z軸に交わる位置の楕円の短径の半径の長さ(4.318)を取得します。
構築ドロップダウンから、オフセット平面を選択します。
ブラウザの原点から、XY平面を選択します。
範囲にオブジェクトを選択し、楕円の位置にある点を選択します。
残りの2つの位置にも平面を構築します。
作成した3つの平面に、それぞれ楕円を描きます。原点に近い側から、21-10.5、18-9、 (8,636)*2- (4.318)*2です。
ロフトを選択します。
図面に、指示されている位置の2つの楕円を使ってロフトを使うと、微妙に長さが不足するため、モデルの作成には、不都合です。
そこで、スケッチを描いて大きさを求めた、外側の楕円を使ってロフトを作成します。
リム側のスケッチを作成する
YZ平面にスケッチを作成します。
ここで、楕円のスケッチの修正位置の違いによる、ロフトの高さを確認しておきます。
回転をクリックします。
角度に60°方向に対称を選択します。
フィレットを選択します。
フィレットを4mmに設定します。
作成ドロップダウンから、パターン、円形状パターンを選択します。
パラメータを設定します。
結合を選択します。
結合のパラメーターを指定します。
角穴を作成します
XZ平面にスケッチします。
ミラーを選択します。
スケッチをミラーで複製します。
作成から、円形状パターンを選択します。
パラメーターを設定します。
切り取りで押し出します。
完成しました。
まとめ
今回示したように、ソリッドでモデリングする場合、スケッチの間だけ立体が作成されるロフトは、図面からモデリングする場合、今回示したモデリングの例のように「使用するスケッチの位置と寸法を求める」一手間が必要な場合があります。
サーフェスでモデリングする場合は、使用するCADによっては問題が生じない場合があります。たとえば、CATiAでは、2つのスケッチから作成するサーフェスのロフトは、無限曲面が作成されるとおもいます。その結果、この例のように使用する楕円のスケッチの位置と寸法を求める必要がある問題は生じないとおもます。
ソリッドでもスケッチの外側に立体を延長する機能が存在すると、モデリングの負荷を軽減できると思います。
もちろん、CADによっては対応しているものもあるかと思います。
徐変フィレット
図面の確認ミスにより、徐変フィレットを追加する必要のある部分に半径一定フィレットを追加していました。徐変フィレットは、使ったことがなかったので、図面の指示を見落としてしまいました。コメントでの指摘ありがとうございました。
徐変フィレットを追加するには、フィレットコマンドの半径タイプパラメータに徐変を選択します。
半径点をビューに表示されているフィレットを追加したいモデルの稜線から選択します。4分の1の位置では、点が緑になります。クリックして選択するとリストに追加されるので、点の位置のフィレット半径を入力します。
プッシュプルによる楕円のロフトの延長
個人的に、プッシュプルコマンドは、使用しないので、プッシュプルコマンドで傾斜を持つ楕円柱をプッシュプル機能で延長できることに気が付きませんでした。コメントで指摘してもらい初めて気が付きました。びっくりです。