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値上げによる収益の悪化は、習慣の変化を促すのが原因

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値上げで、仕入れ価格や人件費上昇の乗り切る価格引き上げ戦略は、ここ最近の傾向では、値上げによる利益上昇よりも、売上が悪化する例が多くなっています。この現象を身近な例で考えてみたいと思います。

避けることができない出費

可処分所得で表される使えるお金の金額は、収入と出費の差によってある程度決まっています。そして、生活する上で避けることができない出費は削減することができません。

避けることができない出費の例

  • 家賃
  • 水道光熱費
  • 食費
  • 生活雑貨(トイレットペーパー・洗剤)
  • 医療費
  • 教育費(特に学校の補助教材)
  • 税金

特に恐ろしいのが、学校の補助教材です。義務教育は完全無償化というのが建前ですが、手を変え、品を変え、いろいろな出費が発生します。体操着、制服、カバンは、仕方ないにしても、推薦図書、授業が数回しか存在しないそろばんや百人一首、ほぼ强制の部活動用具、彫刻刀、木工用具、縦笛、習字道具、絵の具など、学校の備品にして貸出方式にすればよいのではと、やらなくて良いのでは、いうものも多くあります。そして、これらは、他のもので代用したり、お金がないからやめておくという選択ができません。使う必要のない部分で、他人の判断で経済体力が毟られるのは不当に感じてしまいます。

生活パターン

日々の出費を家計簿を付けて管理している人もいますが、日々の生活はほぼ同じなので、収入もほとんど変わらなければ、出費もほとんど変わりません。
意識して変化をつけない限り、自宅で作る食事のレパートリーも外食に行くお店も注文する料理もある程度パターン化します。日々の生活の中で少しづつ積み上げてきた成功パターンなので、頑強で、満足感も高い組み合わせの集合体です。

変更コスト

確立した生活パターンを変化させるのは、コストがかかります。例えば、気に入った料理のレシピを見つけるには、既存のレシピを探し、実際に作って、使う材料の試行錯誤が必要です。
しかし、納得できないほど価格が上がれば、変更する原動力が生まれます。国産肉しか購入していなかった人が、外国産肉を試すことになります。ビールから発泡酒発泡酒から第三のビールへ、ワインへ、焼酎に変化し、一度変化が起これば、たとえ価格を元に戻しても、元のビールへは一部の人しか戻りません。外食であれば、行きつけのお店が高いと感じたら、その店に行く回数を減らすのではなく、他の新たなお店の開拓を始めます。まわりまわって元のお店に戻るかもしれませんが、その間は、利用しませんし、より気に入ったお店が見つかれば、元々使用していたお店とは縁遠くなります。

消費税

消費税も同じです。消費税は、仕入れの際に支払った消費税と販売する際に回収した消費税で相殺することができますが、価格が全般に大きく変化します。そのため、変更コストを支払う原動力になります。ほとんどの生産業で、製造方法や処方検討、材料変更により、より低価格で、あまり品質を落とさない現行品との類似品が開発されます。
価格の上がった現行品と価格がそのまま、あるいは、比較的上がっていない代替品を並べて、顧客に提案します。顧客も今まで使用していた原材料だけでなく、取引のなかった会社の製品や外国産の製品も含めて比較検討をやり直します。

性能要求ではなく、価格要求

このような動きは、性能や品質を上げることが目的はないため、「少しでも安く作って、高く売ろう」とい目的で動くことになります。その結果、品質の低い類似品がたくさん現れます。市場シェアが大きく変化し、商品によっては、市場から淘汰さます。
変化が起こるので、力を持っていても正当に評価されていなかった商品は、売上を伸ばすチャンスです。しかし、ほとんどの商品は、そうではありません。
使う量を減らしたり、使うのをやめたり、別の商品に切り替えられたりします。

値上げは変化を誘発する

タバコは、吸わなければ吸わないで過ぎていきますし、晩酌は、しなければしないで、過ぎていきます。
値上げは、顧客が、変更コストを受け入れ、今まで使っていたものが本当に必要なのか、他の商品でいいのでは、はては、使わなくても良いのではと考えるきっかけを作ります。
検討の結果、やっぱり必要と判断されない限り、顧客は離れていきます。
ほとんどの場合、今使っているものは、他のでも良いし、それを使って行う事もする必要がないことが多いのです。習慣的に行っているだけのことも多くあります。
本当に必要なことだけを行うようになると、どれだけの消費が減るのでしょうか?
人々は、より質素な、質実剛健な生活に移行するのでしょうか?