ドローイング空間

3D-CADを中心に、雑多なことをかいています。

与信評価システム構築に必要な、基礎データを効果的に集めるには?

広告

AI研究の成果により、基礎データを大量に集めることができれば、高精度に結果を予想可能な世界が現実化しはじめています。

AI登場以前にも、確立統計という分野で、特定の事象から結果を予測する手法は存在しました。現在のAI予測が多変量解析の1種と考えていいのかは、把握していませんが、何はともあれ、基礎となるデータをどうやって適切に、そして、効率的に集めるかは、研究者や実務家が常に頭を悩ませる問題の一つです。

 

AIシステムは、多方面で利用されていますが、金額的な効果が大きい分野の1つが与信システムです。
お金を貸してもお金が返ってこない。商品を納入してもお金を支払ってもらえない。このような状態を未然に防ぐことを目指すのことを与信管理と呼びます。

 

さまざまな視点があるので、正確な情報については、より専門的な情報源を参照して下さい。

 

貸したお金が返ってこない、売上金を回収できないことを避けるために、「きちんとした契約書を作成する」ことで、法律的な権利を明確化することが重要です。

そして、お金を返さない可能性のある、組織や個人を予め特定できれば、貸付金額を少なくすることで、被害金額を限定化できます。

そのため、より信頼度の高い与信評価システムは、常に一定の需要があります。

層別

貸したお金を返さない。購入した商品やサービスの代金を払わない状況にはどのようなものがあるのかを分類して考える必要があります。

支払うお金が無い。

支払う予定であったが、資金繰りがつかない。個人では、住宅購入、自家用車購入などの大きな金額で、分割支払期間の長い商品の購入の際に発生することが多いのです。しかし、事業者は、その運営資金を常に動かしている関係上、取引先が倒産して売上金を回収できない、銀行からの貸付枠が減らされたなどの問題が発生すると支払う予定のお金が確保できなくなります。

もともと支払う気がない。

資金繰りの悪化した企業では、原材料を掛売りで購入し、安価で売り捌くことで、短期的な運転資金を確保する行動に出ることがあります。ねずみ講、マルチまがい商法、ネットワークビジネス、不動産投資の末期には、よく似た現象が発生します。

商品やサービスの内容が期待していたものと異なる。

販売時に商品やサービスの性能や内容を粉飾していた場合に起こります。販売側に、販売時は、問題を隠して売り抜けたいという気持ちが働くことだけでなく、購入側に、商品を受け取った後に、商品やサービス価格を値切ろうとする気持ちにより発生します。

行動パターンにより、与信リスクを予測できないか

購入した商品やサービスの代金を払わない状況について、確認しました。これらの直接の引き金を引く原因はあるとしても、それにたどり着く要因は、それぞれの価値観や行動指針によるものではないかと考えることができます。

性格とも読み替えていいのですが、行動パターンにより与信リスクを予測できる可能性は十分にあります。

基礎データの集め方

与信リスクを予測するデータは、金融機関やリース会社、取引先の多い企業には、その歴史と経験から多くの情報が集まっているものと思われます。

そのような、環境や協力が得られない場合、どうしたら効率的に与信管理システムの基礎データとして使える情報を集めたら良いのでしょうか?

興味深い例

興味深い例を見つけました。「CASH」や「TRAVEL Now」というスマートフォン上でのサービスを提供する「株式会社バンク」です。

bank.co.jpそのサービスの特徴は、後払いです。

「CASH」は、スマートフォンで、お金に変えたいアイテムを写真を撮影し送信することで、最大2万円までのお金が振り込まれます。アイテムは、お金を受け取ったあと2週間以内に送付します。お金を受け取った後にアイテムを送付するのが、このサービスの特徴です。

「TRAVEL Now」は、旅行代理店システムです。用意された旅行プランから、総額10万円までの好きな旅行を選んで旅行することができます。このサービスも同じく後払いです。旅行に行ってから2ヶ月以内に代金を支払います。

これらのサービスは、一度でも、支払いが行われないと再度サービスを利用することはできません。「CASH」では、代金を受け取った後、アイテムが送付されない割合は、5%以下とのことです。

どのようなデータを集めるか

もちろん、「株式会社バンク」のサービスが、与信評価システムの基礎データを集めるためのシステムの偽装であるとは判断できません。しかし、同じような、サービスを構築することで、より効率的な基礎データを集めることが可能です。

そして、この仕組を利用すれば、銀行や貸金業、企業が集めることができない、個人の低額な与信評価の基礎データを集めることができます。

スマートフォンを活用していることがポイントです。スマートフォンからのサービスの利用で、どこまでの情報が入手できるかは知りませんが、所在地(GPSデータ)、年齢(年齢層)、性別のデータは、きっちり取得できそうな気がします。

さらに、利用するサービスで、嗜好が推測できます。そして、「アイテム」を送付しない。あるいは、「お金」を支払わない人が特定できます。
サービス内で、収支がプラスである限り、データを取得し続けることができます。

そして、長くサーブスを続ければ、経済危機の際の行動の変化も確認することができるかもしれません。

 

実際に、継続できる経済活動と組み合わせて有効なデータを集める仕組みを考えるとデータを集めるコストの軽減と取得できるデータの量を増やすことができます。

信用評価システムは、個人情報から独立する

従来の信用評価システムは、個人情報と紐付いています。過去の不払いや支払い遅延、倒産や自己破産などです。

しかし、AIが進化することにより、個人情報に紐付いた過去の行動結果の情報がなくても、与信評価システムが機能する可能性があります。スポーツの好き嫌い。食べ物の好き嫌い。旅行や車の好みから、貸したお金を返してくれる人かどうかを判断できる未来がくるかもしれません。