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無人運転実現の技術と段取り

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どんな技術でも、商業利用するためには、数々の障壁があります。新しい技術の導入で、雇用がなくなり、排除される労働者が存在することもその1つです。

 

それとは別の視点として、帆掛け船が、エンジン船に移行したことで、水産資源を採り尽くし、漁業収入が減ることで漁師の担い手が減少するのもその1つです。特に、後者は、エンジン船の製造者や販売者が、自身の収益を増やすために(部分最適化)水産資源の乱獲を推奨するような現象が現れます。その結果、資産資源が減ることで、エンジン船の需要が激減し、周辺業界も道連れにして、斜陽産業に突き進みます。これは、明らかに、自由経済の限界であり、経済学でいうところの「神の手」が行き届かないことを示すと共に、長期の視点で、規制と税制により、その進行速度を制御し、永遠に持続可能な状態に保つ必要があることを示しています。

技術は、評価される分野で成長します。1つはお金です。研究や開発の予算と、それを行なう人材への給与が供給される必要があります。もう一つは、名声です。行った内容が、研究や開発に携わった人材が、より高待遇の労働環境に移行するための武器になる経歴として機能する分野である必要があります。この2点を満たさない分野では、どれだけ有意義であろうと技術や科学は、前に進みません。これを満たさない分野の進化は、極稀に現れる奇人・変人に分類される方が成果を出すのを待つ必要があります。

現在、自動運転技術が、マスコミを賑わしています。これが、経済に良い影響をもたらすかどうかはかなり疑問です。商業的でなく、学術的な興味で、開発が進行している気がします。

既得権益者の反対を考慮しない場合、自動運転が活躍する分野は、鉄道などの軌道交通と高速道路でのトラックやバスの自動運転です。

鉄道での無人運転は、一部の限られた路線だけですが、かなり以前から商業的に利用されています。貨物列車や新幹線、地下鉄、在来線など広範囲に活用されてもよいと思われますが、現在のところ、人間の運転手が、操作しています。カメラ、画像認識、通信を組み合わせれば、ホームや踏切の確認、などを含め、中央制御センターから遠隔操作やコンピューターによる自動運転の技術障壁は、少なそうに思えます。

高速道路でのバスやトラックの自動運転は、一般道で、カーブミラー越しに、歩行者や自動車の存在を判断するよりは技術的な障壁が少ないように思えます。道路に、自動車と通信するための設備を用意し、個々の自動車が、独自に判断するだけではなく、中央制御室から、情報を供給することが可能です。高速道路付近の決められた場所に、トラックやバスを移動し、高速道路上は、無人で運転し、目的地付近の決められば場所で、トラックやバスを受け取る仕組みは、十分実現できそうな気がします。

列車やトラック・バスの運転手の雇用問題、運転手が、移動先で行なう食事や宿泊を含めた経済活動に関連する業種への影響などへの交渉や調整が必要になります。実際に、無人運転の鉄道は、ほとんどの場合、地域コミューターなど、新規路線でしか実用化されていません。

その結果、技術的な障壁は高くても、そのような交渉や調整が不要な、自家用車の無人運転に突き進んでいるのかなと思いました。