ドローイング空間

3D-CADを中心に、雑多なことをかいています。

今更だけど3D-プリンターについて調べてみた

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今更感がありますが、一時注目されて、今はあまり聞かない3Dプリンターについて調べてみることにしました。

3Dプリンターは、RP(Rapid Prototyping)に分類される技術です。

 

現在、コンピューター上でモデルを確認できますが、実際に試作品を作成して現物で確認する用途があります。 短時間に試作を可能にする技術として存在します。 RPとして、3次元CADで作成したデータから直接試作品を作成できる積層造形が一般的です。 「積層造形法」は、材料を薄い膜状に積層して製造する記述です。

装置の種類

目的により、使用する材料や造形方法を選択する必要があります。

装置の種類については、「平成22年度版CAD利用技術者試験 3次元公式ガイドブック」から引用しました。

装置の種類
方式材料断面積層方法用途
光造形法 光硬化樹脂 レーザーを光源としてスポット光を樹脂表面に当て、スライス断面ごとに樹脂を硬化させて積層する 樹脂モデル(強度、耐候性は低い)
粉末固着法 セラミック スライス断面ごとに粉末をレーザーにより焼結して積層する 鋳造型(ダイレクト型)
金属粉末 形成型(ダイレクト型)
樹脂粉末 スライス断面ごとに粉末にインクジェット方式で接着剤を塗布し積層する 樹脂モデル
石膏、コーンスターチ 石膏、澱粉モデル
溶融物堆積法 熱可塑性樹脂 溶融樹脂を移動ノズル先端から押し出しながら造形する 樹脂モデル
スライス断面ごとに溶融樹脂をインクジェット方式で吹き出し積層する 強度の必要な樹脂モデル(ABS、ポリカーボネートなど)
薄版積層法 紙、樹脂シート シート材をスライス断面ごとに切断し、シート同士を接着しながら積層する 樹脂モデル、木型代替

積層造形PR(3Dプリンター)による試作手順

3D-CAD、あるいは、3D-モデラーなどで作成したデータをSTLファイル形式で保存する。

RP専用のアプリケーションにより、STLデータを高さ方向に一定間隔でスライスし、積層ピッチごとの断面形状を得る

積層ピッチごとの断面形状を積層して、3Dデータと同じ形状のモデルを作成します。

PR(3Dプリンター)で作成したモデルの用途

  • 意匠設計のデザイン検証

    設計した製品が期待したものである必要がある場合に利用できます。 操作ハンドルなど、手に持って使用するもの、体に身に着けて利用するものは、 実際に形状を作成し、違和感がないか確認する必要があります。

  • 機能評価

    組み付けやはめあいのチェック、機構やシミュレーション実験などの検討を行う際に利用します。 計算で検証した形状を実際に確認する際に利用します。 複雑な機構や流体解析などの検証に必要なモデルを作成する際にも使用されます。

  • 型やマスターモデル

    PR(3Dプリンター)で作成したものから、シリコン型や石膏型を作成し、その型を使用して、試作品を作成する。 PR(3Dプリンター)でロウ型を作成し、それを基にロストワックス法で、鋳物金属の試作品を作成する際に使用されます。

高額な装置では、対応可能な場合がありますが、通常、作成したモデルの強度はあまりありません。 強度が必要な場合は、3D-データを基に、ロストワックス法で、金属部品を作製してもらえるサービスを利用する、 あるいは、NC加工機を用いた切削法で作成を依頼します。

3D-プリントサービス

個人で利用できるもの、産業用の業務用途のものといろいろあります。所有する装置によって、出力サイズもいろいろあります。

板金試作なら光造形法

車のボディなど、板金金型を作成する前の意匠検討などには、光造形法の3D-プリンターが使われます。

チタンなら粉体固着法

加工が困難といわれるチタンなどの素材では、粉体をレーザーで溶融させて形状を作成する3D-プリンターを使用しても、 大きさによっては、他の方法で作成したものと金額があまり変化ないかもしれません。 ほかの方法で加工が難しいタングステンなども将来的には利用できるかもしれません。

最高のチタン3Dプリントを実現する方法

CADと3Dプリントを使ったジュエリーデザイン

素材をあまり使用しないことから、ジュエリーの作成は3D-CADに向いているのかもしれません。3D-CADも専用のジュエリーCADが存在します。

ロンドンのデザイン学校教授に学ぶ、CADと3Dプリントを使ったジュエリーデザインの秘訣

参考情報

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3D-プリントサービスを利用する際のポイントが紹介されています。

個人向け3D-プリンター

利用用途を考えるのが難しいと思いますが、完成品、組み立てキット品などいろいろなものが販売されています。

光造形法

個人向けの光造形法の3D-プリンタは、まだ高額で、種類は少ないですが、販売されています。 利用用途として明確なものは、ハンドメイドジュエリー作家が、シルバージュエリーを作成する目的で、 ロストワックス法を用いた鋳物を作成するためのロウ型を作成するために利用しています。

溶融物堆積法

ほとんどの個人向け3D-プリンターは、こちらの形式のものです。 利用用途として明確なものは、一部の模型を趣味にしている人が模型作成に利用しています。 一部の機械や電子系のエンジニアが3D-プリンターを作製、保守することを楽しむ目的で利用しているように思われます。

ノズルが、焦げた樹脂で詰まる。装置の調整、基盤の故障など、評価の高い完成品以外は、かなり保守管理が難しそうな印象です。

実際の活用法

実際に活用するには、柔軟な考えとチャレンジ精神が必要です。 まだ、使い道がさっぱり思い浮かばない方に向けて、ネット上で紹介されている活用例を紹介します。

欠けたウォシュレットの歯車を、3Dプリンターで、たったの1時間で直す話

壊れたプラスチック部品を3D-プリンターで新たに作成します。

「この歯車が欠けて、ノズルが動かなくなった。 買ったお店に聞くと装置ごと全て取り替えになり、 装置が1万6000円、出張費が8000円で、〆て2万4000円って言われた。歯車さえ直れば動くのに」

歯車を3D-プリンターで作成します。

イスの足のきず防止のプラスチック部品を作製する

イスの足についているプラスチック部品を作製する例です。このような家具のプラスチックやゴム部品は、壊れたら、二度と入手できないことが多いので、 便利な活用例の1つですが、この目的のためだけに購入するには、3D-プリンターは高額すぎる気がします。

3D-プリンターで、ジュエリーを作製

【人の人生も変えるデジタルジュエリーの魔力!!】3DCADと3DプリンターとiPhoneアプリでデザインするコツをこっそり教えます。

3Dプリンターを使ったジュエリーの製作工程の概要がわかる記事。 あまり作り方まで紹介している記事はないので、作業のイメージをつかむための参考に為ります。

 

3D-CAD初心者のOLさんがジュエリーデザインした超個性的【今、話題の定時リングとは?!】

 

プラスチック部品の作成

自動車のアームレストを修理してみました。

 

模型の作成

ばーちゃわーるど

3D-プリンターで模型を作成して作品を紹介しているサイト

 

作品紹介ページです

3Dプリンターで印刷できるフィギュアをつくろう

ワコムタブレットの活用事例のページで紹介されていました。

 

ジュエリー作家の方、模型を趣味あるいは実益とされている方、 オモチャの修理など樹脂部品の破損に悩まれている方には、具体的な恩恵がありそうです。

3D-プリンターの活用法の開拓には、まだまだ、知恵とアイデアが必要です。